ぷち逃避行?一日目

 

逃亡しようと思ったけど帰ったあとのことを考えていた。準備をしている途中で投げやりな旅じゃなくてこの旅で私生活が充実するものにできるようにしようという方向へ気持ちが変わっていた。参考書をカバンに入れた。特に観光はしないで部屋で籠ってやろうと思った。

家を出てからいつものように自転車を本気で漕ごうとしてやめた。駐輪場から改札までいつも走っているのをやめた。私はいつも焦ってる。それが嫌でわざと意識的にゆっくり歩いたり、ゆっくりページをめくったりする。今日もわざとゆっくりしようと心がけた。そうでもしないと休みに行く意味が無い。

 


電車に乗る前に小説を1冊買った。今日は何も食べていなかったから食べ物も何か買えばよかったが、頭が上手く働いていなくてなにをどうしたらいいのか分からなくて気の利いたことは出来なかった。小説を買うことは出かける前から決めていたからできた。

 


行き方を調べていなかったから取り敢えず東京方面の中央線に乗ってから調べた。1番安い経路で行くことにした。ケチる必要があるかないかは分からなかったけど今の私にはそれが1番適切に思えた。新宿からの小田急線は最悪だった。長時間満員で、新幹線に乗ればよかったと少し後悔した。みんな長時間乗るからか、小田急線の席の取り合いは私が普段乗る電車に比べて卑劣だった。私は将来この線で通勤通学をする所には住みたくないなと思った。また、そんな贅沢を言える生活をまだ自分が望んでいることが当たり前のような違うような、、いつものように自分のことがよくわからないまま曖昧にして考えるのをやめた。

 


熱海に着いた。無計画すぎて取り敢えず宿にチェックインしに行こうと思ったがタクシーの運転手さんに美味しい御飯処を聞いたら位置関係的に先に食べた方がいいなと思って、タクシーに乗る必要もない距離にある日本料理屋さんに停めてもらった。初乗りの700円はしっかり取られたけど新幹線を使わなかった分の差額はまだまだあるし良しとした。

日本酒と舟盛り御膳を頼んだ。途中で喉が渇いたから生ビールをジョッキで頼んでゴクゴク飲んだ。どれも特別美味しく感じなかった。お店のせいか、一人だからか。その後はコンビニで酒と少しのつまみと煙草を買って宿に向かった。ベランダでタバコを吸った。オーシャンビューらしい。真っ暗で全然見えなかった。一通り落ち着いて温泉に向かった。一人でのびのび入れて気持ちよかった。毎回一人だと泳ぐ。泳ぐ必要はないんだけど泳がないと損した気分になるから。顔を出してのろのろと平泳ぎをしといた。ここに来る前は2日もお風呂に入れなかった人間がお風呂最高ー!と言って浸かっているのはそういうものだ。

以前友だちと熱海に来た時は日本酒が死ぬほど美味しくて泣きそうになりながらうめぇうめぇと言っていろんな話をしていたな。酔っ払って夜に入るコンビニはめちゃくちゃ楽しくてはしゃいでいたな。タクシーに乗って友達とお互いを褒めあっていたらタクシーの運転手さんがいいですねと笑いながら言ってくれて嬉しかったな。ホテルについてからは音痴でダンスなんて恥ずかしくてできない私が友達につられて一緒にその時流行っていた恋ダンスをしてこんな楽しいことあるかよぉってふにゃふにゃの笑顔になっていたな。


今だってその人たちと会えるし同じような旅行ができるだろう。

だけど、私は違う自分でそこに参加したい。

私は諦めが悪い。さっさと諦めて死んで欲しい。死なないなら諦めないという訳か。

 


この一人旅も終わってしまえばまた変わらない日常が待っていて、私は何も変わっていないだろう。

何も得なくていいからと最後は思って飛び出したからそれでいいか。

この2日は好きにやろう、

わたし、使命感を忘れること

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